チェコで産むぞ!妊婦の会レポート
妊婦の会、チェコの病院での出産勉強会をオンラインで開催しました。
初産、2人目、3人目、駐在妻、ローカル妻などさまざまなバックグラウンドの方、特に年末〜 3月生まれのママが集まりました。
「おめでとうございます!」から始まる勉強会って素敵ですね。
3人を産んだママは出産ストーリー動画を作ってくださり、この動画から勉強会がスタートしました。チェコで出産した3人のママの病室での過ごし方スライドショーを見て、そのあと、「困ったこと、持っていったらいいもの、コミュニケーション」についてのパネルディスカッションを行いました。
こちらも一読ください。
追記 2023/11/16
産院を利用したママさんから情報提供がありました。
アポリナージュの産院が新しくなり、ルールや施設が一新されたようです。
・以前までは14週になると、産院登録が必要でしたが、こちらが不要になりました。
・20週で助産師面談があります。面談時に母子手帳にスタンプをもらいます。
レポートとアドバイス
今回は、病院での過ごし方を中心にお話をしました。
呼吸器センサーと沐浴指導
- 呼吸器センサー: 赤ちゃんのカプセルの下に呼吸の有無を感知するセンサーがある。沐浴やおむつを変える際にセンサーを切り忘れないように注意する。
- 沐浴指導: ポドリーではパパが病室に入ることができるため、看護師からの指導を受けられる。アポリナージュではパパが病室に入れないため、沐浴指導はママが受ける。日本との沐浴方法の違いに注意し、YouTubeなどで事前に確認しておくと良い。
前室、病室
- 産後の授乳指導やレッスンは特にない。
- アポリナージュでは家族や配偶者は待合室でのみ会える。病室には入れない。
- ポドリーでは配偶者や子どもは病室に入れるが、それ以外の家族は待合室で会う。
- 無痛分娩、自然分娩の場合、入院着に着替えた後に、浣腸がある。
- 剃毛はしなくても大丈夫だった。
- 分娩室が大部屋の場合、カーテンで仕切られた両サイドにいきむ産婦たちがいる。「声を出して!」と医者に言われて、遠慮せずにしっかり声を出すと、赤ちゃんがおりてきた。
- 高額な陣痛室、分娩室が一緒の個室を選択すると、無痛麻酔、(破水)、陣痛誘発、分娩が全て一貫して行われる部屋になる。トイレ、シャワーつき。パパも滞在可能。
病院内の設備
- アポリナージュの個室にはテレビがない。
- ポドリーの個室にはテレビがある。
アイテム
- 移動時は寒いため、羽織ものや足元を暖かくすることが必要。特に冬生まれの場合はガウンやバスローブを持参することが推奨される。夏生まれの場合は必要ない。
- 食事時や起き上がる時に授乳クッションやドーナツクッション(手作り可能)を持参する。足がむくむので、クッションやバスタオルをまるめて足の下に置く。足を高くすることで血液循環を促進させる。
- 飛行機に乗る時に使う首用のクッションが授乳中に自分の首を支えるのに便利。
- ドーナツクッションの作り方:Tシャツや服を一直線に数枚つなげて、丸く輪っかを作る。その状態でクッションカバーやまくらカバーの中にいれる。
風邪予防
- 冬場は風邪を引きやすいため、乾燥対策と栄養摂取が重要。
- 風邪→体力・免疫低下→栄養不足→母子ともにダメージ
- 風邪予防でマスクは必須。咳をする時にも役立つ。
母乳とカンガルーケア
- 母乳が出ない場合は母乳バンクと粉ミルクが選択肢となる。初乳は赤ちゃんに必要な栄養素が凝縮されており、にじむ程度でも口に入れることが推奨される。愛着形成の効果があり、量より形が重要。生まれてすぐに与えるのが最適。
- 上記の初乳の重要性の観点から、最初は粉ミルクではなく、母乳バンクがいい。
- カンガルーケアが推奨されているため、「夜中は寝たいので赤ちゃんをナースルームで預かって欲しい」というリクエストはほぼ通らない。本当にずっと母子同室。
- トイレや食事、シャワーなどで短時間、席をはずす時は、ナースルームに頼むか、同室のママに赤ちゃんをみてもらう。
食事と栄養
- 病院の食事は質素なため、フルーツやおやつ、冷凍食品、レトルトなどの持参が推奨される。
- 冷蔵庫、冷凍庫、電子レンジ、お湯が利用可能。
- スープは水分摂取にも役立つため、手作りの冷凍スープの持参が良い。豚汁やミネストローネがおすすめ。
- 炭水化物、低脂肪タンパク質、豆腐などの積極的摂取を心がける。
- ウーバーイーツなどのデリバリーサービスが利用可能。異彩、まし花、雅で和食弁当をパパに用意してもらおう。
- 糖分の摂りすぎは避け、低脂肪のスイーツを選ぶこと。
- 糖分(ケーキやおかし)を摂取しすぎると、おっぱいが腫れて痛くなるのでほどほどに。
産後の身体的ケア
- 帝王切開の場合は産褥パットよりネットパンツ、産褥パンツが適している。1日3回のシャワーで使い捨て可能なネットパンツが衛生的で便利。(院内売店、ドラッグストアで買える)
- 産後の病室での睡眠環境を整えるために、アイマスクや耳栓を使用する。
- 夜中に同室のママがおむつ変えをするときに電気をつけるのでアイマスクが便利
- 夜中におむつかえをするとき、室内の電気ではなく携帯のライトが便利
- 乳首クリームも良いが、母乳で乳首を湿らせてラップで保湿する方法もある。ラップの持参も有効。
- 母乳を出すために血流を良くすることが重要。おっぱいがむくむと乳腺が塞がりやすくなる。肩こりや背中のこりを解消するエクササイズが有効。
- タオルを絞って濡らし、レンジで30秒加熱して肩にのせる方法も良い。
- お湯で濡らしたタオルでも代用できる。
- 母乳を出す、むくみをとる、血のめぐりをよくするといった観点でも水分補給は重要。1.5~2Lの水のペットボトルを持参推奨。水道水しか水はない。あとは、共有スペースのお湯かお茶がある。
- むくみ対策として、常温かあたたかい飲み物を1~2L飲む。
産後の運動と健康
- 骨盤矯正サービスの利用が一つの選択肢。自分でもケアが可能。
- ベルトは骨盤を支えるが、骨盤を元の位置に戻す努力が必要。骨盤底筋群のトレーニングや体を整える運動が推奨される。
- 4児のはんなりママ 「陣痛の痛くない、乗り越え方、陣痛ポーズ」
コミュニケーション
- 医者、看護師は、小児科と産婦人科で担当が違う。「痛み止めが切れてきたので、薬が欲しい」と言っても「私は小児科担当なので、産婦人科の先生か看護師に言って」と言われる。(呼んできてくれる)
- 医者は1日1回巡回する。看護師は頻繁に病室に出入りする。
- 医者は英語ができる(人によってレベルが違う)、看護師はチェコ語のみ。痛いや、体の部位等のチェコ語の単語は言えるようにしておいた方がいい。
- 錠剤、カプセル、粉など薬が選べる時がある。
- 便秘、痔、帝王切開、会陰切開の傷、むくみ、アレルギー等の単語が必要。
- 分娩中は「PUSH!(いきめ!)」だけわかれば、なんとかなる。
- 産後は、授乳前後の赤ちゃんの体重、排便(おむつ変え)の時間、沐浴時間を記録する紙が配布される。同室のママに書き方を教えてもらう。
企画感想
友人のママたちが年末に出産すると知り、せっかくだからみんなで集まって勉強会をしよう!ということで、今回のチェコで産むぞ!妊婦の会を企画しました。
友人のママに声をかけると、「私も先輩たちからお世話になったから、ぜひ、私も役に立ちたい!」ということでスピーカーとして参加していただきました。
さらに、「日本で栄養士をしていました」「日本で助産師をしていました」という方々が、「何かお役に立てればと思い、参加したいです」と連絡をいただき、専門職からのアドバイスがありとても贅沢な勉強会となりました。
スキルや経験がある方の才能がこのような形で発揮され、たくさんの方の助けとなる場が作れて、非常にうれしく思いました。
勉強会の最中も「個別にぜひ相談してください」とおっしゃっていただき、「では、次はぜひ、助産師さんによる授乳レッスン、母乳ケアをしていただけませんか?」とお願いすると、快諾していただきました!
これまで、ミートアップや交流会など楽しむイベントを中心に開催してきたのですが、妊婦の会という学びのあるイベントを初めて企画しました。最近の目標である、「駐在、ローカルが交流する場作り」が1つ達成されたと同時に、参加者の表情を見て、このようなイベントのニーズや重要性を実感しました。
また、栄養士、助産師の方の登場により、遊休人材、隠れた才能が活躍する舞台を作ることが多くの方にとって有益であるという気づきもありました。
私自身、出産以外でも学びの多い勉強会となりました。ゲストスピーカー、妊婦のママたち、参加いただきありがとうございました。どうか、楽しいチェコの出産の思い出ができますように!